マスクコーデからつながるヴィクトリア朝時代、ファッション今昔・・・
こんにちは!
緊急事態宣言期間、やっと明けました。
いかがお過ごしでしょうか。
ALL Reviewsのメルマガの巻頭言を書いています。
6/29 は、美術史の魅力について書きました。
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私は歴史や政治史を読むのが好きでして、先が見えない時こそ過去を振り返えることで、人類は数々の難局をどう乗り越えてきたかに興味があります。
そうすると、たとえば自然災害や戦争の時代に、時の指導者たちがどういった判断を下したのか、といった本を読むことが多くなります。
ただそれだとそれら偉大なリーダーたちの、常人の域を超えた判断力や行動力にばかり意識が行ってしまい、そもそも当時どんなバックグラウンドがあったのか、など社会背景を理解するのが疎かになるときがあります。
ある時気づいたのは、それら有事が当時の社会や文化にどういった影響を及ぼしたのかがわかると、歴史背景がより立体的に伝わってくる、ということでした。
中でも人々に美の象徴として受け入れられた芸術作品やそれらが制作された背景を知ると、当時の社会ではどのような価値観が共有され、称賛されていたかを垣間見ることができます。
政治指導者の判断や行動だけを追っていては見えてこない、その時代その時代の社会心理といったものが見えてくるわけです。
そこから美術史が特に好きになりました。
そして、今のこのコロナ禍です。
今日ご紹介する一冊はこちら。
『ヴィクトリア朝 病が変えた美と歴史:肺結核がもたらした美、文学、ファッション』([訳者あとがき]桐谷知未さん)
この本によると、感染症とファッションが結びつくことは珍しくないそうです。
19世紀英国で肺結核が流行した際、人々は肺病患者の真似をしようと、有害な白粉を使い躍起になって青白い肌を再現し、危険な点眼薬で瞳孔を大きくし、おぼつかない足取りで歩いたといいます。
今の私たちからするともちろんかなり奇妙な美の価値観、ということになるでしょう。
しかし一方でこのコロナ禍においてもファッション誌などでは、マスクと洋服のコーディネートを取り上げた「おしゃれマスクコーデ」といった特集記事もあったりします。
あらためて、疫病が文化に与える影響度合いについて考えさせられます。
そしてそれは過去の歴史と今の時代がつながった瞬間でもありました。
ぜひ詳しく読んでみたい一冊です。
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