『企業の成長につながる、〇〇的イノベーション』
「革新的イノベーションが企業の成長を促す効果は確認できなかった」
製造業が4割を占める773社を対象に、2009年~2011年度までに企業が投入した新製品などが、2012年~2014年度までの企業成長率に及ぼす影響を探ったある調査が実施されました。
冒頭のコメントはその調査結果を受けて、文科省のある主任研究官が残したコメントです。
この調査からは、競合他社でさえ手掛けていない新製品やサービスを市場に投資するいわゆる「革新的イノベーション」に「企業成長の効果なし」との結論が導き出されたようです。
10月31日付の日経新聞に『イノベーションで成長せず?』と題した、より詳しい分析が掲載されていました。
実際に企業の成長と関係していたのは、主に既存製品の改良や改善に努める「漸進的イノベーション」だったといいます。
すでに競合他社に先行されていても、自社にとっての新しい製品や新しいサービスが成長を促したそうです。
興味深い記事です。
もちろん、イノベーションと企業成長率の相関関係は個別で見ていく必要があり、ある一定期間を切り取って調査したこの結果がすべてではありません。
今回のように、既存製品の改良や改善こそ市場のシェアを広げて企業の成長につなげるという考え方もあれば、まだ見たことのない製品やこれまでなかった事業を生み出してこそ、新たな売上を生むという考え方も当然あると思います。
ただ本調査の分析で分かったことの一つは、イノベーションに挑んだ企業が23%を占め、そのうち87%がイノベーションに成功していたのに対し、一方でイノベーションにそもそも挑戦することすらしなかった企業も多数あったということです。
「イノベーションの効果を気にする前に、イノベーションに挑戦しないことには成長はない」と記事は結んでいます。
「革新的」、「斬新的」、「破壊的」、「創造的」・・・
イノベーションにもいろいろなタイプがあるのでしょうが、どのような形であれイノベーションがあってこそ企業が成長するということだけは確かなようです。