謹賀新年:元旦に学ぶオバマ前大統領の読書作法・執筆方法

謹賀新年。
あけましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いします。

一年を始めるにあたっての最初の文章、ということで新年くらい志高くこの人を取り上げたい。
バラク・オバマ前大統領。
昨年11月に自身の人生を振り返った一冊が出版されたばかり、タイトルは『A Promised Land』。
すでに国内の書店にも原書が並んでおり、先日書店で手に取ってみた。

これまでも自身の人生を振り返った回顧録は出版されているが、今回はより自身の政治家としての、とりわけ大統領就任期間にフォーカスされている印象。
後編も今後出版される予定とのこと。
(なお、日本語訳版は2021年2月16日(水)に発売予定!)
(http://gakugei.shueisha.co.jp/obama/)

今回も各紙で書評が出てるが、その中でも前回に引き続いてミチコ・カクタニ氏のインタビューに注目した。
前回のインタビューの際にも感じたが、今回もオバマ氏の文学に対する情熱や、そこから何を学び取って人格形成につながったかにスポットライトを当てていて、より彼女好みの質問内容に基づいたインタビューになっている。
(https://www.nytimes.com/2017/01/16/books/obamas-secret-to-surviving-the-white-house-years-books.html?_r=0&referer=https://t.co/w8FjlmJSEU)

偉大なリーダーが読書を通じてどのように自らを鍛え変革していったかといったストーリーは、私も大好物だ。
下記に、気になったポイントをメモとして。

--- 

出典:“Obama, the Best-Selling Author, on Reading, Writing and Radical Empathy
Barack Obama Opens up About Writing 'A Promised Land 
By Michiko Kakutani 
Dec. 8, 2020
(https://www.nytimes.com/2020/12/08/books/barack-obama-promised-land-reading-writing.html)

〇読書について
・コロンビア大学院で学んでいたころはほとんど引きこもって寝ても覚めても読書生活
・シェイクスピア、聖書への愛、リンカーン大統領、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア、ラインホルド・ニーバーについての研究
・アフリカンアメリカン文学から受けた大きな影響 
→「私がどのように書くことを学んだか、誰を模倣したかを考えるとき、常に頭に浮かぶ声はジェイムズ・ボールドウィンである」

〇執筆方法について
・”You just have to get started.  You just put something down.  Because nothing is more terrifying than the blank page.” 
(とにかく始めること、何かを紙に書くこと、白紙ほど怖いものはないから)
・最初の原稿は黄色いイエローリーガルパッドに手書き、その際使用するのは、Uni-ball Vision Elite roller ball pens with a micro-point(黒色)とのこと
・執筆時間は午後10時から深夜2時まで、世界が狭まってくるように感じられる時間帯で、自分のイマジネーションにとっても最適な時間 

〇アメリカの理解につながるおススメ本
Q:アメリカに到着したばかりの人へ、この複雑かつ混乱した国を理解するために、どんな本をオススメしますか?

〈フィクション〉
・ウォルト・ホイットマンの詩 
・F・スコット・フィッツジェラルド『グレートギャツビー』 
・ラルフ・エリソン『見えない人間』 
・ジョン・スタインベック『怒りの葡萄』
・トニー・モリソン『ソロモンの歌』
・ヘミングウェイやフォークナーによる作品 
・フィリップ・ロスの小説 
→「同化しようとする民族グループにおける緊張感、アメリカ人であるとはどういう意味か、外からアメリカを覗き込んだときに見えるものを捉えている」

〈ノンフィクション〉
・フレデリック・ダグラス『数奇なる奴隷の半生: フレデリック・ダグラス自伝』
・マルコムX『マルコムX自伝』
・ヘンリー・デイヴィッド・ソローによる『森の生活 ウォールデン』
・ラルフ・ウォルドー・エマソン『自己信頼』
・リンカーン大統領の2回目の就任演説
・マーティン・ルーサー・キング『バーミンガム刑務所からの手紙」
・アレクシ・ド・トクヴィルア『アメリカの民主政治』
→「アメリカは本来旧世界からの脱却だった。今では当たり前のこととなっており、現代文化の多くがアメリカの特定の要素だけを具体化していることもあり、われわれは見失ってしまっている」


〇最大のメッセージ 
・日々バベルの塔に閉じ込められているように感じたり、ニュース放送に釘付けになる必要はない 
・文学と芸術が私たち自身の愚かさと私たちの仮定、そして私たち自身の利己主義と近視眼性を思い出させてくれる、本や芸術や物語は、私たちが共有する喜び、希望、美しさを思い出させてくれる 

 “I think whether you’re talking about art or politics or just getting up in the morning and trying to live your life, it’s useful to be able to seek out that joy where you can find it and operate on the basis of hope rather than despair.” 
(・・・朝起きて人生を生きようとするとき、何らかの喜びを見出し、絶望ではなく希望に基づいて行動することが大切なのだ)

“We all have different ways of coping, but I think that the sense of optimism that I have relied on is generally the result of appreciating other people, first and foremost, my own children and my family and my friends. But also the voices that I hear through books and that you hear through song and that tell you you’re not alone.” 
(対処方法は人それぞれだが、私が拠り所にしてきた楽観的な気持ちは、自分の子供や家族、友達など、他の人に感謝することの結果だと思う。しかし本や歌を通して聞いたりすることも、自分が一人ではないことを教えてくれる」

--- 

ということで、新年一回目にあらためて読書から学ぶことについて取り上げた。
オバマ大統領の評価は今後時間が経ってさらに定まるのだろうが、少なくとも読書や執筆、内省を自らに課し、常に古今東西の知恵を追い求め自らの人格向上へつなげようとするその姿勢は、今を生きる我々すべてが見習える大事なポイントだと思う。

さてさて、今年も一年自分なりに精進したいと思います。
どうぞよろしくお願いします。


P. S. オバマ前大統領がその年に読んだり聞いたりして、感銘を受けた作品を毎年リストアップし発表するのはもうおなじみになっていますが、今回は自身の本作品を読むときのプレイリストも発表しています! ♬
(https://music.apple.com/us/playlist/barack-obama-a-promised-land/pl.c50bdf006a0c4590b746d70fe779cdf5)



 

 

Popular Posts

Contact Form

Name

Email *

Message *