ハイブリッドワーク時代の生産性
今週は気温もぐっと下がり、だいぶ秋らしくなってきました。
依然油断はできませんが、新型コロナウイルス感染者数も以前に比べるとだいぶ落ち着いてきた印象です。
そんな中、今後もさらに進んでいくと思われる、ハイブリッドワークの生産性ついて今週は考えてみたいと思います。
10/20付ハーバードビジネスレビューHPに、『ハイブリッドワークの「生産性」を再定義しよう』と題した論文が掲載されていました。
コロナ禍に見舞われ、私たちの働き方、生産性に対する考え方は大きく変わりました。
マイクロソフト社では1年半にわたり綿密な調査を行いましたが、分かったことの一つは、数年後どころか数か月後の仕事のあり方を予測することさえほぼ不可能ということだったそうです。
人々はオフィスで働くことを懐かしく思う一方で、リモートワークのフレキシビリティを失うことを恐れています。
(※マイクロソフトCEOのサティア・ナデラ氏は、これを「ハイブリッドパラドックス」と呼んでいます)
このような状況の中、マイクロソフト社は今こそ生産性の新しい定義が求められているという結論に達し、調査結果から見えてきたニューノーマルにおけるより具体的な生産性の高め方について論じています。
コロナ禍以前は、生産性といえば限られた時間内でいかに多くの仕事をこなせるかがテーマだったと思います。
しかしコロナ禍を受け、仕事と家庭の境界がますます曖昧になり、同僚とのコラボレーションがより困難になったことで、疲労感の増加や創造性の低下という目に見えない問題を抱えていること人が増えていることがわかっています。
マイクロソフト社の例では、約半数(49%)が労働時間が長くなったと回答し、逆に短くなったと答えたのはわずか9%でした。
またマイクロソフト社の外部の労働者を対象にした調査でも、54%が過労を、39%が疲労を感じていました。
従来使われてきた単純な指標では、実際の生産性は測りづらくなってきたといえます。
私たち一人ひとりが各々の仕事と向き合い、これまで以上に生産性に意識を向ける必要があるのかもしれません。
「朝と夜、どちらの方が仕事がはかどるか」「どこで仕事をしているとき、邪魔が少ないか」「集中できているのはどんなときか」
いつ、どこで仕事をするのが最も生産性が高いと感じるか、あるいは最も生産性が低いと感じるかを、個人個人で振り返る必要があります。
この論文では続けて、マイクロソフト社が生産性を再定義する上で導き出した、マネジャーとチーム間で活用できる具体例が紹介されています。
特に「ウェルビーイング」、「コラボレーション」、「イノベーション」の側面に着目し、それぞれを促進させるための施策は参考になります。
たとえば、
〇ウェルビーイング
・ハイブリッドな環境はより多様な働き方を提供してくれる
・オフィスで集まる場合は、人間関係を深めるための活動や、ホワイトボードを囲んだブレインストーミングなどの共同作業を優先させる
・在宅勤務では、リモート会議の合間には5分間の休憩を取るだけでも、ストレスが軽減される
などなど
〇コラボレーション
・マイクロソフトでは従業員がオフィスに戻りたいと思う最大の理由は、コラボレーションと社会的つながりだった
・個人のワークスタイルとチームのニーズの間で妥協点を見つけることが重要
・チーム内で取り決めを持つと良い
→マイクロソフトでは、各チームがハイブリッドな環境でどのように一緒に働くかを定義したチーム規範を作成している
などなど
〇イノベーション
・どの仕事をリモートで行うか、対面で行うかを一つ一つ良く考えるべき
・たとえば、大きなプロジェクトの開始時は対面で集まりまずお互いを知り、作業効率化のための一連の流れが標準化され、責任が定まった後は、リモートワークがより効果的
・「弱いつながり」といわれるような、チームが職場の身近な人たち以外との関係を構築することを促進させる などなど
現在のような先行きが見通せない状況では、短期的な指標の向上如何で一喜一憂するのではなく、ある程度長期的な観点で生産性を見ていく必要がありそうです。
私たちの多くがここまですでに経験してきた通り、リモートワークと対面での働き方にはそれぞれ異なる長所と短所があります。
それら特徴に基づいて、携わる仕事の本質を見極めながらハイブリッドワークを進めるのが大事なんだと思います。
※気になった方はぜひ全文を読んでみてください
マイクロソフトCEOが「ハイブリッドパラドックス」についてどう考えているかや、マイクロソフト社のチーム規範など実際の具体例がリンクとともに紹介されています。
参考元リンク:ハイブリッドワークの「生産性」を再定義しよう
https://www.dhbr.net/articles/-/8058