現代に通じる渋沢栄一の教え

毎週日曜日の晩は、大河ドラマ『青天を衝け』をご覧になっている方も多いと思います。

平均視聴率もここまで好調のようです。

主人公「渋沢栄一」は、生涯で約500の企業を育て、約600の社会公共事業に関わった「日本資本主義の父」とされます。
今の世の中に生きていたら、とんでもない天才アントレプレナーといわれたのではないでしょうか。
どの書店に行っても関連書籍がたくさん置かれており、人々の関心の高さをうかがわせます。


この渋沢栄一の人気ぶりは、単に大河ドラマによるものだけではないようです。
コロナ禍において感染予防と経済の両立が困難な状況が続く中、その思想や理念、発想が今こそ活用できるのではないかといった期待や、その魅力の再発見が人気の大きな要因となっているとされます。


4/5付の日経新聞に、渋沢を30年近く研究してきた仏文学者・鹿島茂氏へのインタビュー記事が掲載されていました。
テーマは、渋沢栄一なら現在の難局をどう乗り切るか。

鹿島氏は、まずコロナの感染予防を徹底するのはもちろんだが、「経済をないがしろにするのではなく、コロナ対策がめぐりめぐって経済の維持につながる」政策を進めたのではないかと言います。
渋沢は「論語と算盤」を一生の心得としました。
個人が努力して一生懸命にお金を稼ぎ続け、正しい利益を追求する。
自分だけ儲かればよいといった考えではなく、他者の利益も一緒に考える。それが社会の利益につながり、持続可能性をもって全体が豊かになっていく。
渋沢ならこの「道徳経済合一」という考え方を今の世の中でもあらためて説いたのではないかと。


つまり真の経済人には、まずもって道徳観が求められるということなのだと思います。
高い道徳意識を持って初めて、私益の追求が公益につながる。
公益につながれば、お金を稼ぐこと自体が道徳の実践にもつながっていく、と。


これは今でも十分に通じる教えだと思いました。
渋沢栄一の5代目子孫で実業家の渋澤 健さんは、「論語と算盤」にはSDGsとの共通点があると考えています。
「渋沢は『論語と算盤』の中で、『正しい道理の富でなければ、その富は完全に永続することができない』と指摘しています。これは、まさにSDGsの『持続可能性(サステナビリティ)』の思想です」


「実業界の父」と称され、日本の制度や経済システムの基礎を築いたとされる渋沢栄一が後世に残した一番大事なレガシーは、真の経済人のあるべき姿、ということなのかもしれません。


さてさて、それでは今週末も、若き栄一青年の成長の過程を大河ドラマで楽しむことにしましょう。



以 上 

参考記事:


Portrait of Shibusawa Eiichi (渋沢栄一, 1840 – 1931)
Wikipediaより




(中央区・日本橋兜町にて撮影)


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