「100年に一度の危機」 vs 「千載一遇の好機」
東京を初め一部地方でも感染者が再び増加しており、コロナ禍の影響はしばらく収まりそうにありません。先週も触れましたが新聞や雑誌は、今回のコロナ禍を「戦後最大の危機」「100年に一度の危機」などと表現します。ただ一方でこうしたとらえ方自体がコロナの影響を実際よりももっと大きなものにしてしまい、「インフォデミック(情報感染)」を助長するという考え方もあるようです。たとえばこの「100年に一度の危機」と表現されるような出来事は、21世紀に入ってからの20年ですでに11回も起きている、といった解説も目にしました。
たしかに身近なところで起きているテレワークやオンラインミーティングなどのデジタルシフトも、今まで見たこともなかったような全く新しい事象が起きているというよりは、これまでもすでに起きていたことがさら加速しているだけ、と見ることもできます。
ビジネスの教科書などは、ピンチはチャンスと説きます。
でも変化の時、起きている事柄を正確に把握し、ピンチな事態をチャンスに変えるというのは、口で言うほど簡単ではありません。変化に対応するだけでも本当に大変です。
しかし上記のテレワークのような変化を一つとっても、本当に目を凝らせば、Aさんにとっては単なる「自宅勤務」かもしれませんが、Bさんには「自宅のオフィス化に伴う新需要」と映るのかもしれません。
デジタルトランスフォーメーションもその一つですが、今回の危機によりこれまでは(見えていたんだけど)そこまで見えてなかった様々な社会課題が顕在化してきそうです。
もちろん、軽々しくコロナ禍による影響のすべてをビジネスチャンスなどと捉えるべきではないです。ダーウィンではないですが、まずは現状に適応してくことに集中し、状況の改善のために取り組めることは専念して何でも取り組むべきです。
その上で、このタイミングを「100年に一度の危機」と見るも、「千載一遇」と捉えるも私たちひとりひとり次第、ということもどこか心に留めておきたいと思います。