DX人材花盛りの今、、、ところでDX人材って何?
『DX人材』について
「DX人材」という言葉をいろいろなところで目にします。
今後のビジネスで求められるリーダーに必要な人材像であったり、今一番転職市場でも人気のある分野とも聞きます。
メディアでも目にしない日はないくらいですが、先日このデジタルトランスフォーメーション(DX)分野の専門家と話す機会があり、いろいろと考える機会になりました。
「デジタルを含む専門技術人材は30年に170万人不足する」
一部ではこんな予測もあるそうで、今や小中高校でプログラミングなどが順次必修化されるなど国を挙げて対策に追われています。
話を聞くと、これから仕事をしていく上で、大変になっていくのはDXといったデジタル分野は自分には縁がないと決め込んできた中年世代以降だそうです。
特に文系でこれまでデジタル分野の仕事に直接関わってこなかった世代で、ある程度のキャリア年数が経っていたりすると「今さら転向もできないし、その能力もないし」と変革意識を持てず、問題をさらに深くしていくとのことでした。
実際、東洋経済なども『デジタル仕事術』といった特集を組み、「今さら聞けないデジタル初歩」など大きく取り上げています(2022年3月5日号)。
デジタル分野の学習には隠れ需要のようなものがあるのかもしれません。
しかし、このDX人材とは一体何を指すものなのでしょうか?
そして本当にデジタル技術に慣れ親しんだ人材にしかなれないものなのでしょうか?
そして本当にデジタル技術に慣れ親しんだ人材にしかなれないものなのでしょうか?
日経新聞に三菱総合研究所DX技術本部研究員・小野寺光己研究員による興味深い記事が掲載されていました。
「デジタル人材と聞くと理系エンジニアを思い浮かべがちですが、求められるスキルは技術力だけではありません」と述べ、デジタル人材を下記の4つに分類して考えるべきだといいます。
①プロデューサー:CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)に代表される社内のDX主導者、
②DXマネジャー:DXを企画・推進し、必要ならば社内外との調整を担うマネジャー層、
③ビジネス・サービス:現場のサービスや業務をよく知る存在で何をどうDX化すれば新たな価値を生み出せるかを設計、
④デジタル技術者:①~③の要望に基づいて、システムを設計したり、プログラムなどを書く技術者
このうち純粋に技術力が不可欠なのは④です。
①~③は技術力があれば理想ですが、必須ではないと小野寺氏はいいます。
「④のシステム・技術担当はDXの要ですが、④ばかりのDXはうまく機能しません。
技術に長けた人材を集めて、人工知能(AI)を構築・導入したものの、実際の業務で使いこなせず、宝の持ち腐れになった、といった失敗事例も聞きます。
そもそもDXはデジタル技術を活用して既存のビジネスモデルや業務を変革し、新たな価値を創造することです。
その観点からみれば実は③のビジネス・サービス担当の存在がとても重要です。
現場の課題を誰よりもよく知っているからです。
課題をあぶり出し、ビジネス案を具体化できる③もDXに欠かせない存在です。
しかも中途採用者をすぐに充てることは難しく、社内人材にこそ活躍の余地があります」
読んでいて確かに一理あると思いました。
企業はそもそもなぜDXを必要としているのかに立ち返って考えると、さらに納得できます。
小野寺氏がいうように、デジタル技術を活用し、現在のビジネスモデルやこれまでの業務の見直しを進め、新価値創造を目指すことがDXの本来の目的であったはずです。
DXとはつまり目的ではなく、手段であるということです。
小野寺氏がいうように、デジタル技術を活用し、現在のビジネスモデルやこれまでの業務の見直しを進め、新価値創造を目指すことがDXの本来の目的であったはずです。
DXとはつまり目的ではなく、手段であるということです。
ビジネスを理解している人間こそプロジェクトの主導権を握るべきで、かつ上手にDXを活用・進めていくことが求められているのです。
さらにこの役割を担う人材像について別の興味深い記事を見つけました。
記事によると今後むしろ必要となるのは、どの分野でDXが必要とされるかにまず気づく能力であり、必ずしもテクノロジーに精通していることではないといいます。
記事によると今後むしろ必要となるのは、どの分野でDXが必要とされるかにまず気づく能力であり、必ずしもテクノロジーに精通していることではないといいます。
そういった人材にはデジタル分野に精通している人材には最初から見えない部分が、逆に見えるのだそうです。
この分野で先進するGoogle社などは、技術に疎い人をあえて採用することを明言しています。
この分野で先進するGoogle社などは、技術に疎い人をあえて採用することを明言しています。
「現場に深く共感し、現場の隠れたニーズを利他の心でもって引き出し、さまざまな関係者をつないで新たな価値を創出する」能力こそがこれからの人材に求められるもっとも重要な特質であると記事は強調しています。
しかしよく考えてみれば、この特質はDX分野に止まらないことに気づきます。
ましてや、文系も理系も関係ないことです。
そう考えると、技術や手段がどんなに変化しても、目的を達成するために重要な能力というのは、実はもっと普遍的なものなのかもしれません。
そう考えると、技術や手段がどんなに変化しても、目的を達成するために重要な能力というのは、実はもっと普遍的なものなのかもしれません。