イノベーション課題の認識:社会課題って具体的になんだろう?
長期化するコロナ禍はもちろんですが、オリンピックのような大規模イベントや、今月集中的に発生している天候不順による災害などは、社会の課題を浮き彫りにします。
一方でそれら影響が目に見える形で現われることで、イノベーションが取り組むべき課題もよりクリアになってきます。
たとえばコロナ禍は教育分野に大きな影響を与えました。
学校現場では今後ますますICT活用が求められますが、地域や各学校によるICT教育環境の差が、そのまま教育格差の拡大につながる可能性も指摘されています。
この教育については、子供たちの教育現場の課題に止まりません。
企業が若い人材をどう育成するかも課題です。コロナ禍で入社した社員も、非対面の状況が続く中、社内の人間関係や業務習得に時間がかかるなど、従来とは異なる課題が発生しています。オンライン環境では先輩の仕事ぶりをOJTで学ぶといったことも難しく、企業側には従来の新人教育の枠組みにとらわれない工夫や、サポートが求められています。
また他にも、今年は東京オリンピックが開催され、日本社会のダイバーシティ欠如も課題として取りざたされました。
この夏は天候不順も大きな問題となっています。猛暑日が続いていたかと思ったら大雨の影響を強く受け、被災エリアでは先行き不透明な状態が続いています。防災も引き続き日本の大きな課題といえます。
そんな中政府もイノベーションがやはり課題解決のキーになると認識しているようです。
最近、内閣府にオープンイノベーションの取り組みがあることを知りました。2017年度、2019年度に続き、今年で3回目の開催となるようです。
「内閣府オープンイノベーションチャレンジ2021」と題し、国の機関や地方自治体の社会課題の解決に向け、スタートアップや中小企業の優れた提案を広く募集しています。
国の省庁及び地方自治体が抱える具体的な課題解決へ向けて、下記10のカテゴリーで18の「募集テーマ」を設定しています。
〇海洋・農林水産・インフラ・安心・安全・防災・教育・ダイバーシティ・ヘルスケア・モビリティ・ロボット
各課題を細かく見ていくと、自治体がどういった課題を抱えているのかが具体的に見えてきます。
いくつか見てみますと、
■教育
【神戸市】小中学生を守る、過度のスマートフォン等への依存を抑制するためのアプリ等の開発
【和光市】小中学校に配布するタブレットを活用したキャリア教育に関するコンテンツ
■防災
【つくば市】地域住民に対する洪水・土砂災害等、水害に関するリスクコミュニケーション手法
【愛知県】実践(アウトカム)を意識した防災啓発等のリスクコミュニケーション手法
【浜松市】消火及び救助活動中の各消防隊員の位置・健康状態のモニタリング
■モビリティ
【和光市】既存の公共交通機関が対応しきれない、道路が狭隘なエリアにおける交通ニーズを満たす手法
■ロボット
【京都府】省人化茶葉手摘みロボット
これらテーマおよび自治体の具体的な課題を見ていくと、国は今どの分野でオープンイノベーションが必要だと認識しているかが分かり、勉強になります。
わたしたちが解決すべき「社会課題」とはなんでしょうか。
私たちはどんな社会を作っていけばよいのでしょうか。
こういったトピックを考える上で、このチャレンジはとても参考になる取り組みだと思います。
ご興味のある方は、ぜひ詳しくご覧になってください。
『内閣府オープンイノベーションチャレンジ2021』
https://open-innovation-challenge.go.jp/
https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/20210806oic.html