Tokyo Olympics 2020:オリンピックから考える WITH と BY の都市デザイン
連日、暑い日が続きます。
水分補給を忘れずに、健康第一で乗り切っていきましょう。
さて、いよいよ東京オリンピックが開幕しました。
今回は自宅観戦がメインとなりましたが、テレビを通じてでも選手たちの躍動は伝わってきます。
開催についてはいろいろな議論がありましたが、アスリートたちの活躍そのものには、やはり心動かされるものがありますね。
所属する社会人教育プログラムの一環で、先週の四連休に都内各競技場の建築見学をしてきました。
新国立競技場を初め一つ一つの建築物のデザイン性や、建築方法などは知れば知るほど、目を見張るものがありました。
テレビでご覧になった方はお気づきになったと思いますが、新国立競技場などは無観客での開会となりましたが、観客席は白、黄緑、グレー、深緑、濃茶の5色の「アースカラー」によるシートがランダムに配置され、人が少なくても賑わって見える構造になっています。
まるで今回の無観客開催を見据えて設計されたかのようです。
デザインを手がけた隈研吾氏はやはりその点を良く聞かれるそうで、あるインタビューでこのように述べていました。
「皆さんが無観客を予測してたんですか?と(よく聞かれる)。もちろん、設計したのは15年からですから、コロナのコの字もなかった」
「森の木の葉が落ちたような観客席にしようと。風が通る競技場と考えて5色を混ぜた」
なるほど、周囲の自然と調和する「杜のスタジアム」としてデザインされただけのことはあります。
今回参加した勉強会では、元パラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)選手で、現在は特定非営利活動法人 D-SHiPS32の代表として活動されている上原大祐さんにもゲストとしてお越しいただき、見学後に氏を交えて討論会が行われました。
討論会では、一つ一つの競技場は確かに立派だが、五輪開催後も社会にとって有益な使われ方をされるだろうか、という点が中心に議論されました。
新築された競技場と五輪後も使用することになるコミュニティとのつながりや、地域への貢献、共存などは、どこまで念頭に置いてデザインされたのだろうか、など五輪後の社会へ与えるインパクトについて、もっとできることはなかったか、などがテーマとして挙がりました。
上原さんによると、2012年のロンドンオリンピックでは、競技場などの建築物やコミュニティのデザインを考える時は二つの言葉を主軸にしたそうです。
それは、with と by。
オリパラ競技者・コミュニティー・生活者などの当事者と共に考えること(with)、そして当事者によるデザインにすること(by)。
本オリンピックでは開会式においても、多様性が大きなアピールポイントになっていました。
しかしそれを標榜するのと、実際にデザインに組み込んで実行に移していくことの間には、大きな隔たりがあります。
今回はオリンピックを通じて、都市において本当に必要とされる「インクルーシブ・デザイン」とは何か、ついて考えさせられる四連休となりました。
まだまだ暑い日が続きます。
健康管理には一層の注意を払いながら、東京オリンピックを引き続き楽しむことにしましょう。