【本の話】『BIG BUSINESS (ビッグビジネス) 巨大企業はなぜ嫌われるのか』

私たちは「巨大企業」や「大企業」という言葉にどんなイメージを持っているでしょうか。
社会の公器、寄らば大樹の陰、不誠実、悪徳、傲慢、、、。

自分が働いている会社の規模や、暮らしている国によってもイメージは大きく違ってくると思います。
たとえばアメリカでは大統領選挙を控え、民主党支持者も共和党支持者も巨大企業に対して厳しい目を向けています。

最近では大きなニュースにもなりましたが、「GAFA」と呼ばれる巨大IT企業に対して、米議会では警戒を強め、下院司法委員会は7月下旬に各社の最高経営責任者(CEO)に対する公聴会を実施し、今月の6日にはこれら企業に対し、反トラスト法(独占禁止法)に基づく調査報告書を発表しています。

報告書では、世界4大テクノロジー企業が市場支配力を乱用していると厳しく非難し、企業分割を含む規制強化など抜本的な改革を提言した内容となっています。

このように、大企業にとってはとかく風当たりが厳しい風潮の中、今回ご紹介する経済学者・タイラー・コーエン氏はあえて大企業を擁護します。


●今週の一冊:
『BIG BUSINESS (ビッグビジネス) 巨大企業はなぜ嫌われるのか』
タイラー・コーエン著 

コーエン氏は著名な経済ブロガーでもあり、ジョージ・メイソン大学の経済学教授で、これまで「世界の思想家トップ100」にも選出されています。

本書の「日本語版への序文」では、特に今回の新型コロナウイルスの感染拡大への対応で、大企業が果たした役割について説明しています。

下記ポイントを抜粋。

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・大企業はおおむね、コロナ禍のなかで立派に、そして英雄的に行動してきた
・リモート勤務の増加によりデータ通信量が大幅に増加してもしっかり持ちこたえている
・アマゾンなど通販事業者は、食料品配送など業務量の急増に目覚ましい対応力を見せた
・大学で授業が継続できているのはビデオ会議システム「Zoom」のおかげだ
・医療では日夜、大手製薬会社やバイオメディカル企業が開発を進めており、抗ウイルス薬の開発を期待できるのもやはり大企業だ
・また、安定した労働力需要の担い手としても、大企業が果たしている役割は大きい
〇 今回のように大きな試練に対して最も強靭で、最も素早く効果的な対応ができたのは、潤沢な資本をもつ大企業であった
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などと述べ、大企業の貢献がもっと正当に評価されるべきであると書いています。

私たちは大企業について正しく理解しているでしょうか。
コロナ禍以降の社会のあり方や、大企業が社会で果たすべき役割について考させられる一冊となりました。

気になった方は、ぜひ書店でチェックしてみてください。

 




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