ティール組織へ移行:コロナ禍がいよいよ組織の形まで変えてくる!
コロナ禍を受けて、社会環境が大きく変わりつつある中、組織のあり方も問われ始めています。
10/16付の日経新聞朝刊に、大阪の老舗企業である中西金属工業の事例が取り上げられていました。
創業100年近い老舗企業ですが、あらゆるシチュエーションで「高速化」および「最適化」を追求し、成長し続ける組織を実現するため、一部で職制・管理職廃止を進めるなど、大胆な組織変換を進めているとのことです。
激変する社会環境への対応に求められる組織の姿として注目されているのが、「ティール組織」といわれる、階層などをなくしたフラットな「進化型組織」です。
このティール組織については、アジャイルに動くIT系の企業や、ベンチャー企業などこれから企業文化を形成していくような企業での導入はこれまでも例がありましたが、同社のようなすでに長い実績と文化が確立された製造会社で、こうした動きが出てきていることは大変興味深いです。(中西金属工業事例の詳細はこちらをどうぞ)
従来、日本の典型的な企業組織は、ティールとは反対の「達成型組織」を基準として発展してきました。
組織として和を乱さず、日々頑張って市場やライバル企業との競争に勝たなければいけない、という緊張や恐れに訴えかけるマネジメントスタイルで、役割や肩書、上下関係を前提とするピラミッド型の組織です。
それに対してティールに代表される進化型組織では、常に組織の社会的使命や存在目的に立返るマネジメントで、社員個人個人が役割や肩書、上下関係を持たない中、自立しながら、仕事を進めるスタイルになります。
それは一人ひとりが自らの意志と責任で動き、互いを支えあう組織を目指すということでもあります。
つまり、このように階層のない進化型組織では、社員が指示命令ではなく自分で目標を決め、モチベ―ションを自ら高めて主体的に働くことが条件になってきます。
同記事にもある通り、コロナ禍を受けて、今後は自立・分散・協調型への組織移行の必要性はますます高まると見られます。
しかしその一方で、ティール組織にも課題があります。
それは、進化型組織を成立させるためには、そこで働くメンバー一人ひとりが自立するのはもちろんですが、個人プレイに走るのではなく、職場の士気自体も高レベルで維持されなければならない、ということです。
つまり、ティール組織成立の成功可否は、職場風土を醸成する一人ひとりに掛かっているともいえます。
同記事では、ティール組織への移行を支援するある企業が現在受けている問い合わせの半分は、東証1部上場企業や大企業が占めていると書かれていました。
老舗であろうが大企業だろうが、組織形態の転換が今後はさらに増える可能性があります。
コロナ禍で特に先行きが不透明な今、一人ひとりの能力が十分に発揮され、イノベーションを起こせる組織を作ることは急務といえます。
そこで久しぶりにフレデリック・ラルー 氏によるこちらの本を読もうと思います。
気になった方はぜひチェックしてみてください。
●参考図書:
ティール組織 ― マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現
フレデリック・ラルー 著